KRIYA YOGA

クリヤ 3:NADA SANCHALANA
ナダ・サンチャラナ(音への意識の回転)
サンスクリット語のナダは「流れ」を意味し、この練習の中では、「オームという 音の意識の流れ」を意味します。サンスクリット語のサンチャラナは「回転」また は「伝導」を意味します。 したがって、英訳すると「the rotation (or conduction) of sound consciousness」音への意識の回転という形であらわされ ます。
このクリヤは、ナダ サンチャラナ、パワン サンチャラナ、シャブダ サンチャラナ という 3 つのクリヤのグループの最初のもので、連続して行われます。これらはチ ャクラを通るサイキックな(内なる)経路への感受性を徐々に誘導するものです。 ナダ・サンチャラナは、その後に続くクリヤの準備をし、アロハンとアワロハンを 通るプラナの流れの滞りを取り除く役割を果たします。 このクリヤ以降、微細な知 覚と一点集中のマインドが徐々に増加していきます。
ウンマニ・ムードラ このクリヤと次に続く 4 つのクリヤは、ウンマニ・ムードラと呼ばれる非常にシン プルなムードラを使用します。ウンマニという言葉は、文字通り「無心」「思考の ない状態」という意味です。 したがって、ウンマニ・ムードラは「無思考への姿 勢」あるいは「瞑想への姿勢」と呼ぶことができます。このムードラのポーズはと ても簡単です。クリヤ・ヨガでは次の順序で行います:目を大きく開けますが、目 に力を入はいれず、ぼーっと、なんとなく視界を見ている状態にします。意識はビ ンドゥに向けます。意識は、アギャ(アジュナ)、ヴィシュッディ、アナハタ、マ ニプラ、スワディスタナ、ムラダラといったチャクラを通り、ゆっくりと目を閉じ ていきます。目は開いたままでいながらも、自分自身の意識はチャクラと、下降す るアワロハンのサイキックな(内なる)経路に向けられるべきです...目は開いてい ますが、あなたは自分の内側を観察しています。
あなたの意識がムラダラ・チャクラに到達したとき、目は完全に閉じてもよいし、 少し開けてもよいです。練習を通して、自分に合うほうを選ぶとよいです。このム ードラを行うときは、あまり頑張りすぎず、自分の身体やマインドの変化や気づき に合わせていきます。
この練習では、身体への意識よりも、マインド(心)へ意識を向ける練習法です。 つまり、瞼はやわらかく閉じられていますが、重要なのは練習している過程を内側 に感じることです。 また、目は開いているが、外からの視界を知覚・認知はありま せん。 これがウンマニ・ムードラです。
瞑想中は、思考することのない状態=ウンマニ(無の状態)が起きます。人は日々の 中で行動しているかもしれませんが、そこには意図的・意識的な思考が伴っていま せん。これはウンマニ・アヴァスタ(無思考の状態)と呼ばれます。マインドは機
能していますが、相反する思考や分析に邪魔されることはありません。この状態 は、目には見えていますが、私たちは意識的に見ているわけではありません。これ がウンマニです。
ウンマニの状態については、伝統的なタントラヨガの経典に広く言及されていま す。 『ハタ・ヨガ・プラディピカ』にはこう書かれている。"マインドの支えがな い場合、人は無思考の状態になるべきである。そうすれば、人は壺の内側と外側の 両方にある空間のようにとどまるだろう。"(v. 4:50) (4:50)これがウンマニと呼ば れる瞑想の状態です。
「この世に存在するものは、生物も無生物も、すべてマインド(心)の風景にすぎ ない。 マインドがウンマニの状態に達することができたならば、無知と二元性はな くなる。 」(4:61)ウンマニとは、思考を超えた状態、つまり瞑想を意味します。 それは、物質世界に対するすべての執着が払拭された状態を指します。クリヤ・ヨ ガの目的は、ウンマニを私たちの内側から引き起こすことです。 ウンマニ・ムード ラは、その経験を誘発するのに役立つ簡単なテクニックです。
サイキックな(内なる)経路の循環
ナダ・サンチャラナでは、意識をアロハンとアワロハンのサイキックな(内なる) 経路を意識的に移動させることが要求されます。アロハンは身体の前面を上昇する 経路で、アワロハンは下降する経路を指します。
サイキックな(内なる)経路の中で意識を循環させながら、各チャクラとクシェト ラムが、強力なプラナの流れによって順番に貫かれていることを感じてみてくださ い。イメージを広げてみるならば、それぞれのチャクラのポイントがビーズのよう なつながりを感じ、それらがひとつに繋がってチャクラ・シェトラム・マラの形を 成しているように想像することもできます。それぞれのビーズが、プラナの鋭い針 によって貫かれ、糸を引かれているように想像してください。この経路を通過し、
貫通していく感覚は、思考というより内側の感覚的な部分です。 知的な思索を持ち 込まないようにしてください。
心の中での復唱
意識がアロハンの上部にあるビンドゥに到達したら、3回、心の中で「ビンドゥ」 と、唱えます。
アワロハンの底にあるムラダラに到達したら、「ムラダラ」と 3 回、心の中で繰り 返します。